位牌は故人様の魂が宿る依り代ですから基本的には処分すべきものではありません。ですから位牌の処分は本位牌に作り替えたときの白木位牌や弔い上げのタイミングでご先祖様のものと統合したとき、あるいは傷んだので作り変えるといったものが通常の処分のケースです。しかし様々なご事情から処分を検討するしかないケースがあります。たとえばそもそも縁者でない位牌を持っていたり、嫁いだ後の実家祖父母の位牌、親から引き取った仏壇の中の知らない位牌、孤独死の部屋の残された位牌、、、、など。この編では位牌の処分の方法や注意点について特殊なケースも含めてご紹介します。
◆目次
位牌の処分が必要になる場合とは?
位牌には魂が入っている?
位牌を処分する方法
まとめ
位牌の処分が必要になる通常のケース
位牌は故人様の魂が宿る依り代ですから基本的には処分すべきものではありません。しかし、以下のような場合には処分の検討が必要となります。
●弔い上げに合祀
「弔い上げ」とは、決められた年数で故人の年忌法要を執り行わないと決めた最後の法要のことを言います。三十三回忌や五十回忌とすることが一般的でそれ以降の法要は行いません。弔い上げ後は、位牌を処分してご先祖様の位牌と一緒に祀られるため、弔い上げ以降はそちらの位牌に手を合わせることになります。
●位牌を作り替える
位牌が傷んだり古くなりすぎると作り替えますが、経年劣化で自然に壊れていることも多々あります。当然古い位牌は処分することになります。
又、白木位牌の場合は四十九日法要を終えたら本位牌に替えて、白木位牌は処分することになります。
さらに、回出位牌を作るときにも処分が必要です。回出位牌(繰り出し位牌)とは戒名を記載した数枚の札板を入れることができる本位牌の種類のひとつで、先祖代々のお位牌が増えたときに用いられ、スペースを取るたくさんの位牌を一つにまとめて仏壇の中をスッキリさせることができます。回出位牌(繰り出し位牌)を作った際にも、まとめた位牌を処分することになります。
●引っ越しや遺品整理のタイミングで処分する
仏壇の中の位牌を確認してみると、これはだれの位牌なんだろう?ということが正直あると思います。両親は分かるけど祖父祖父母のものも怪しい・・・。そして全然わからないけど預かっているお位牌もあったりして。
なんとなくわかっている代の人から引継ぎが無いと、それ以降の世代が2代続くと全く分からないというのが自然な流れです。そのような位牌が引っ越しや遺品の整理の時に処分の対象になったりします。
位牌が取り残される特殊なケース
●承継できない位牌
先祖代々に受け継がれる位牌ですが、そもそも家系が終わってしまう家筋も少子化の影響で多いのが実態です。子供がいない、或いはが娘しかいないといった場合は、祭祀財産(墓、仏壇、位牌など)といって先祖を祀るためのものを引き継がせていくことが出来なくなります。つまり承継(引き継ぎ)の対象(子供や血縁)が居ない場合にはあらかじめその代で準備をして墓じまいや仏壇じまいを行っていないと、いざ本人が死亡したのちその先祖代々の祭祀財産は受け取り先がなく無縁仏になってしまうのです。管理者が居なくなったお墓が地方で問題なっていますが、日本では2040年の多死化のピークに向かってこのような無縁仏の爆発的な増加が社会問題になることは必至です。
●身寄りがない位牌
独居老人の孤独死の増加が社会問題となっています。離れて暮らしている血縁者と連絡が取れれば故人の遺品も引き取ってもらえる可能性がありますが、身寄りがなく部屋に残された仏壇と位牌の引き取り先が全く分からないような場合がよくあります。行政が引き受けたり管理会社やオーナーが対処することになりますが、その場合には他人の位牌をどう扱っていいものか、扱いに困ってしまいます。
位牌には魂が入っている?
魂入れは宗派によって呼び方が様々ですが、「開眼供養」や「入佛法要」などと呼ばれ、位牌・お墓・仏像などを新しく購入した際に僧侶を招いて読経を上げて儀式を行うことをいいます。魂入れを執り行うことで、単なる「木片」が「参拝対象」となります。 このようにして魂入れを執り行った位牌は処分の時には必ず「魂抜き」を執り行わなければなりません。魂抜きは、魂入れの逆で「閉眼供養」や「遷仏法要」などとも呼ばれ、僧侶を招いて故人やご先祖様の魂を抜くことで「参拝対象」を単なる「モノ」にします。 魂抜きを執り行わないと、位牌の中に故人様やご先祖様の魂が入ったまま処分することになります。「位牌を処分するまえに必ず魂入れを行ったかどうかを確認しましょう。」などと言う人もいますが、そもそも位牌は魂を入れるものですから確認せずとも魂抜きの供養は必ず行うことが無難です。
宗教的にもそうですが我々は何百年も慣習として魂が入った媒体に手を合わせて様々な想いを寄せてきました。そう信じて感謝の気持ちを持って最後も慣わしに従って整理をするほうが気持ちが救われると思います。つまり供養をしっかりしたほうが、スッキリした気持ちで後悔なく位牌の処分ができるわけです。
位牌を処分する方法
位牌の処分は、「お焚き上げ」と「永代供養」があります。どちらかというわけではなく依頼先や供養のスタイルによります。特殊なケースですと他人の位牌を処分するということもありますので、気持ちが入っていないのは当然ですが、それを専門に処理してくれる人(お寺や業者)に任せるのが一番だと思います。
「お焚き上げ」とは
位牌を処分する方法の1つが、焼却して灰にして宿っていた魂を天に還す供養である「お焚き上げ」です。先に取り上げた魂抜きを執り行って故人様とご先祖様の魂を抜いたことで単なるモノになった位牌はお焚き上げで焼却できるようになります。位牌は、故人やご先祖様の魂が入っていた依り代ですので最後はお焚き上げを行うのが一般的です。
「永代供養」とは
もう1つの方法が「永代供養」です。永代供養は、寺院や霊園に位牌を預けることでご家族に代わって永続的に供養をしていただくことができます。ご自宅で維持していくことが難しい方や承継者がいらっしゃらない場合に選ばれます。 永代供養は永久に位牌を預かっていただけるわけではなくたいていは期間が決まっていて、一定の年数を超えると合同で供養されるようになりその時点でお位牌は処分されます。預かっていただける期間についても事前に確認しておきましょう。
つまり寺院に依頼すると承継者の手を離れそれ以降の管理と供養をお寺の住職にお任せすることになりますが、永遠に位牌を置いて個別に供養していただけるわけではなく、一定の期間を過ぎると合祀といって全体と一緒になって供養されるタイミングが到来し、その時点でお位牌はお焚き上げされるというのが一般的です。
特殊なケース、他人の位牌を処分する方法
そのお位牌の所縁のお寺が分からなければ、寺院にお焚き上げを依頼することも大変だと思います。例えばマンションのオーナーや管理会社の方が、残された仏壇や位牌を整理する方法として便利なのは、お焚き上げ供養を行う専門業者に引き取りに来てもらうことです。
仏壇の供養処分、位牌のお焚き上げ処分などを専門に行っている会社に連絡をして相談することをお勧めします。
引き取りだけでなく全国から郵送で受け付けて、合同の閉眼供養やお焚き上げまで一括して行っている会社があります。保険を使って現状復帰や遺品の整理を行う場合は領収証の発行や、処分の証明書の発行なども対応してくれるので是非お尋ねください。
仏壇や位牌を訪問で引き取ったり郵送で受け付けてくれます。
まとめ
・位牌を処分する場合には必ず閉眼供養(魂抜き)の供養を行うこと。
・位牌の処分はお焚き上げか永代供養で行う。
・永代供養の場合は、個別供養の期間や、そのあとの供養のスタイルも要確認。・
・引き取り先のない位牌は、専門業者に依頼すると供養処分まで一括で対応してくれる。
・マンションのオーナーや管理会社からの依頼でも専門業者は引き受けて供養処分を行う。
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